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Green Fortress

プログラマーのポエム隔離所

10年ぶりくらいに「イリヤの空、UFOの夏」を読んで

六月二十四日は全世界的に、UFOの日だ。

例えUFOの日の存在とそれが何時かを忘れてもUFOの日を思い出してフレーズを忘れることはありえないくらい刻みつけられた一文だ。 普段はそれでちょっと思い出してどこぞの掲示板でうろ覚えの思い出話に話を咲かせるわけだが、なんたる僥倖か今のラボに全四巻がひっそりと収まっていたので読んできた。 初めは1巻だけのつもりだったのにいつの間にか手が伸びて3巻まで一気読みした。 夜が更けて日付も変わってしまったので4巻は意識を整理した上で明日読む。ぶっちゃけ4巻の展開は昔から好きじゃなくてなんか勢いで読み飛ばしていたのでじっくり咀嚼したいという想いがある。 とりあえず居ても立ってもいられないのでポエムを書き散らす。

時間の経過について

1巻初版の発行日を見て笑いすらこみ上げた。2001年て。 イリヤスフィール・フォン・アインツベルンより3年先ですよ旦那。

挿絵について

絵のタッチ古っ! あと伊里野もう少し乳があった気がしたけど完全に思い出補正だった。 今の2次元の乳祭りを思うと間違いなく感覚がインフレしているが、当時はBカップがものすんごい巨乳に感じるくらいの若々しいメンタルだったので相応のバイアスがあったと思う。

本筋について

さすがに前半はお腹いっぱい。今回気になったのはここじゃない。

風景描写について

あんまりラノベの数を読み込んでないし、ハードカバーに至ってはさっぱりなので自分の観測範囲で話をするのは気が引けるが、季節感と風景の描写に関して秋山さんの筆は図抜けていると思う。俺が季節で晩夏が好きなのは絶対に本作の影響だろう。 地元はそこそこの田舎だが、その中のひとコマにいかにもありそうな描写を細々と差し込んでくるのはさすがとしか言いようがない。 自分は昔のことは連想を辿らないと記憶が取り出せない方なんだけれども、数年スパンで忘却していた「小学校の体育館の準備室から繋がっている半分地下にある用具倉庫の雰囲気」とか「ふとちょっとしたタイミングで学校近くの小高い山の頂上にチャリで立ち寄った」みたいなどうでもいい記憶が地の文を経由して蘇ってくる。単に用具倉庫や小高い山を描写すればいいというものではなくて、記憶の中に眠ってる細々としたひとコマを想起させるだけの精緻な描写があってこそのものだろう。

軍事技術描写について

中学生のころはFTPRSAブルートフォースも知らなかったし、ましてや軍事、戦闘機に関する用語なんてさっぱりである。 「なにがなんだかわからない」ながらに読んでいた箇所の意味が理解できるようになったのは成長だと思う。 相変わらず意味深なだけで意味がよくわからないキーワードもあるし、もともと細かいところはわからなくても勢いで読めるようになってはいるんだけれども。

「時代」は変わったのか

本作を読んでいて強く意識させられるのが、昭和と90年代の残滓である。 技術的に携帯電話が存在したといっても、90年代の小学校で持ってる人は誰もいなかった*1。中学校もまだ公衆電話+テレカの文化は根強かった。 浅羽の両親の「聡明なところもあるけど程よく脳が劣化してきてガサツなおっさん」と「穏やかで夫を立ててうわさ話に敏感なおばさん」が醸し出す雰囲気とか、家庭や部室のコミュニケーションの軸がテレビなあたりとか「ひとつ前の時代」感がハンパない。今もこういうご家庭あるのかな。 また、「原チャリをパクる、未成年飲酒などの不法行為をサラッと描写する*2」「破天荒キャラが女性を小脇に抱えて悲鳴を上げさせてるのにツッコミを入れるのは地の文だけ」「モブの一般市民との距離が近い」など、今の作品とのノリの違いを感じさせる。 ただ、根本的に昔のことを書いているのか、自分が成人して上京してるから地元を懐かしく思っているのかについては混同があるのでうまく整理できていない。

セカイ系について

正直このノリがもてはやされていた時期は肩の荷が狭かった*3エヴァはTV版と旧劇に関しては嫌いと断言できる。 アホなオタクでは理解できない断片的な内容に後半から胸糞悪くなるドシリアス、ヘタレ系コミュ症と無口系コミュ症と横暴系コミュ症が織りなす噛み合わない三角関係は見ていて胸が痛くなる*4。 それでも、嫌いだったとしても。 3巻の途中で日常が終わって世界が塗り替わっていく雰囲気にはいい意味で怖気を感じた。

登場人物の睡眠感覚について

徹夜しすぎ。作者の感覚が相当フィードバックされてると思う

「死体を洗え」について

今見てもわけがわからない。この話怖え以上のことを考察するのは野暮なのかもしれない。 (6/26追記)少し自分なりの整理がついた。 水前寺が「水前寺応答せよ」で退場する間際に浅羽に「アレは生きている」と電話をした。 作中の内容と合わせると、「撃墜されたエイリアンを見たから記憶を飛ばされた」ということだろうと思う。 自分は死体洗いのバイトをしたのは榎本で、そこで最後に見たのはエイリアンの死体だと思っているのでそのことが機密性を持っているとすれば、電話中に片方の女性自衛官が排除されたことも含めて符合する。 ただ、仮にそうだとすると榎本がなんで飯の肴にベラベラ喋ったのかの辻褄が合わないのと、狂ってしまった『木村』と榎本はなんで記憶措置がされなかったのかも疑問点になる。

総評

たまにはガッツリ懐古するのも楽しいものである。 実家に眠ってる当時の代物を掘り起こして一大懐古祭りをやりたい。というかCD-Rが劣化して破損してる可能性が高いので速やかにやる。

*1:作中では携帯電話の所持が著しく制限されていた

*2:最近はこのへんにうるさいオタクが多いのが気に入らない

*3:関係ないけど姉属性が流行った時期も個人的には冬の時代だった

*4:浅羽のヘタレ度は今やったら許容範囲外だと思う。そういう意味では時代は進んだ